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こちらのほうが分かり易いと思います
百億の昼と千億の夜 神が宇宙を作り、天地を作り、 その中に生命が生まれた 神は何を待ち、何を望むのか 1.アトランティス幻想 ポセイドン神に守られ、オリハルコンに彩られた理想郷・アトランティスの伝説に憧れる 哲学者プラトンはアトランティスの子孫が住むという村を訪れ、宗主の声を聞く。 あなたは道標だ、過去と未来へ旅をして、戦士を探せ、と。 プラトンは司政官オリナリエとしてアトランティスにいた。『アスタータ50の惑星開発委員 会が「シ」の命で行うヘリオ・セス・ベータ型開発実験』、アトランティスはその一環として ポセイドン神の管理を受けている。しかしポセイドンの意に逆らったアトランティスはバラ ンスを失い、街の半分を闇にのまれて滅びた。 ポセイドンの実験は失敗に終わった。ポセイドンは神なのか? 神ならばなぜこんな目に あわせるのか、オリオナエは問う。オリハルコンのかけらを託され、プラトン=オリオナエ の長い旅が始まる。 2.悉達多(シッタータ)~3.梵天 帝釈天 出家した釈迦国のシッタータ太子は、天上世界のトバツ市で梵天王に会う。五十六億七 千万年後の末法の世に現れる救世主・弥勒を地下の摩尼宝殿にいだくトバツ市と、弥勒 信仰を守るため、世界の破滅を引き起こしている悪鬼・阿修羅王と戦うことを命ぜられる。 シッタータは帝釈天の手助けで阿修羅に会う。 4.阿修羅~5.弥勒 阿修羅の言い分は全く違った。世界は完全なる熱量死、一切が無に帰る終末のための 終末に向かいつつある。それは阿修羅も立ち入れる領分ではない。弥勒が救世主ならば、 なぜ破滅に向かう世界を静観しているのか。造物主・転輪王もまたなぜ黙っているのか。 むしろ弥勒と転輪王こそ破滅を引き起こしているのではないか。 二人が摩尼宝殿で見た弥勒は作り物でしかなかった。遠い昔、弥勒は世界の外から現れ、 末世を予言し、信仰を与えて去ったのだ。破滅が続くかぎり、阿修羅の道は戦うことだけ。 シッタータは考えることを始める。 6.ユダとキリスト ナザレのイエスは大天使ミカエルから惑星委員会の使命を受け、救世主として布教 活動をはじめる。最後の審判を説くイエスに、ユダは神とは裁くものなのか、疑念を 抱いてゆく。 イエスを裏切ったユダだったが、それもイエスの計画のうちだと気づき、愕然とする。 7.ゴルゴダの奇跡 磔にされたイエスは、神の怒りと最後の審判を人々に予感させて人間界での役目を 終えた。ユダは思考をコントロールされて地下へ落ちた。ミカエルはオリオナエを見張る ようイエスに命じる。 時がたち、2900年、太陽は色あせ、地球の平均気温は-68度に下がった。 8.トーキョー・シティー~9.戦士たち~10.シを追う ときに3905年、 使命を抱いて長い眠りから覚めたシッタータは荒廃した地上を目の当たりにする。 かつて六億人都市として栄えたトーキョーシティーの廃墟で、シッタータと阿修羅は 道標・オリオナエに出会った。 三人は、自ら「シ」の手先となのるイエスに襲われるが、なんとか攻撃をしのぐ。 戦いに巻き込まれて死んだトーキョーシティーの少女の手に、オリオナエはオリハル コンの欠片を握らせた。 惑星委員会によるヘリオ・セス・ベータ型開発実験は、何の為に行われ、なぜ破滅に 向かっているのか。三者三様の思いを抱き、三人はイエスを追って「シ」を目指す。 11.ゼン・ゼン・シティー~12.コンパートメント~13.ユダの目覚め 亜空間通路を通った三人は地下都市ゼン・ゼン・シティーにたどりつく。 ゼン・ゼン・シティーでは、現実の都市にはロボットであるB級市民だけが暮らし、A級 市民は肉体を個室に守られて眠っている。共有する夢、虚構の世界が、ゼン・ゼン・ シティーが達した群生という都市の姿だった。ただ一人、シティーの管理をする 首相は、シッタータたちも群生に取り込もうとするが、「ナザレのイエス」という言葉に 反応して思考コントロールをとかれる。首相だったユダは目覚め、ゼン・ゼン・シティー は崩壊した。 四人はアスタータ50の入り口を目指して摩尼宝殿があるトバツ市に向かった。 14.トバツ市で待つもの~15.摩尼宝殿入り口 アトランティスにはじまり、ゼン・ゼン・シティーなど多くの場所で行われたヘリオ・セス・ ベータ型開発実験は、いまや全てが滅んだ。かろうじて姿をとどめているトバツ市には 帝釈天とイエスが待ち受けていた。 絶対者、超越者とでも戦うという阿修羅に、帝釈天は「シ」、「死」と戦っても勝てない、 もう戦うことをやめろとさとす。シッタータは、弥勒をひたすら信じて破滅に至るより、 苦しみがあっても命ある世界を人間は欲していたと語った。 摩尼宝殿の地下、弥勒像の口にイエスが消えると像は動きだし、アスタータ50への 入り口が開いた。ユダが犠牲になり、三人は弥勒の口に飛び込んだ。 16.アスタータ50 アスタータ50の惑星委員会ビルには既に誰もおらず、不思議な光を放つ球体だけが 残されていた。地球に現れた弥勒やポセイドン神は実体ではなく、球体に生じた <D>座標の道を通じて映し出されていたものだとイエスは言う。 阿修羅は全てを悟った。神の愛や救済など初めから与えられていなかった。ヘリオ・ セス・ベータ型開発とは、破壊と消滅を目的とした開発だった、と。 17.幻の軍勢 「シ」と惑星開発委員会は文明の発展、知的生命の進化を疎んじ、取り除こうと考えた。 そこで「神」を用いて滅亡の必然性を内包させた。それこそがヘリオ・セス・ベータ型開発で、 実験はおおむね成功し、阿修羅たちだけが失敗作として生き長らえたのだ。 「シ」の企みに気づいた阿修羅の前に、永劫の門のかなたから弥勒の影が現れる。 弥勒は阿修羅たちに使命を与えた者がいるはずだと言い、心理攻撃をかけてその名を 聞き出そうとする。心理攻撃に耐え、球体から光が消えると弥勒は一時去った。 オリオナエがかつて聞いた宗主の声、阿修羅、シッタータ、ユダに使命を与えたの は誰なのか。 18.遠い道 弥勒に反する存在、悪の神、夜の神として、阿修羅たちは使命を受けた。しかし世界の 破滅をとどめることはできなかった。 オリオナエは球体を組み替えて、神のすみか、<D>座標に通じる門を作る。オリハル コンの枠組みに<ディラックの海>のマイナスエネルギーが流れ込み、新しい道を作る 装置。門をくぐった三人は虚数世界に迷いこんでしまう。オリハルコンのかけらがない今、 脱出に失敗すればディラックの海――完全な無に還元される。 三人の力をあわせれば少なくとも一人は助かるはずだ。三人は再び門をくぐった。 終.百億の昼と千億の夜 一人<D>座標に抜けた阿修羅は、転輪王の声を聞く。転輪王は超越者「シ」が宇宙 を作りかえるのを見ながら、ひそかに戦っていた。阿修羅は転輪王の意識をかいまみる。 大いなる変転であり、世界を内包する転輪王。しかしそこには転輪王の力も及ばない、 さらなる超越者が存在していた。 無限の外に無限があり、世界が永遠に続くのなら、戦いはいつ終わるのか。 新たなる百億と千億の日々が待っている。 阿修羅は再び歩き出した。
by raudo
| 2004-09-29 18:46
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