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俺は 壁にもたれて じっと見つめていた。。
炬燵で子猫のように丸くなって眠る女を ただ じっと見つめていた 微かな寝息が聞こえる。 食べかけのミカン 半分に割って片方だけ残っている きっと途中で寝てしまったのだう。。。 時計は午後三時を指していた。日差しも弱くなってきた。早春は、陽が落ちると急ぎ早に冷え込んでくる 風邪を引かないだろうか?? 俺は、ただじっと女を見つめているだけだ 気配を悟られないように。。 目を開けた ..... ... 気づかれない 見えてない.... .. . 目が見えない 女は台所に向かっていった まるで目が見えているかのように真っ直ぐ足早に歩いて 流し台の洗い桶には食器がたまっていた 食器を洗う手つきはまるで健常者のようだ。。 俺は気配を消して柱越しに見つめていた ガチャン!! 皿が大きな音と共に砕け散った 女はじっとしていた。そう 動けば怪我をする 手探りで割れたカケラを丁寧に一つづつ拾い集めてる。。。。。 何事も無かったかのように又食器を洗い始めた 足元に鋭く尖ったカケラがある事に気づかず 俺は 教える事が出来ない。。 なぜなら 俺が居る事が分かってしまう。。 気づかれてはいけない 気が付けば知らない部屋で知らない女が眠っていた??? 自分は存在してないのか?気づかれてはいけないのか??? 気配を消していた。。 その事は事実であるならば このままで暫くいよう。。。 食器を洗い終わって食器棚に片付け始めた慣れた手つきだ。足元の破片が歩くたびにグラグラとゆれる 食器を片付け終わって炬燵に戻って来る 俺はとっさに柱から離れ横の廊下に出た。 直ぐ横を女は通って行った気づかれていない様だ 炬燵に入った女はTVをつけていた何故か見えないのにTVの画面をじっと見つめている。。。 女に気づかれ無いように忍び足で流しの下にある破片を拾いゴミ箱にそっと捨てた。 「カシャン」破片がゴミ箱でぶつかる音 女はこちらを見た しかし 何事も無かったかのように又じっとTVを見つめている 俺は 気づかれないように部屋に戻り 壁にもたれて じっと見つめていた。。
by raudo
| 2004-06-09 22:32
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